鰹節から取れる出汁や鰹節を食べると人は旨味を感じます。その理由は、イノシン酸という成分が鰹節に含まれているからです。
イノシン酸と他の成分を掛け算すると、旨味がアップすることも科学的に証明されています。
今回は、鰹節に含まれる旨味成分はどういうものなのかの説明し、美味しさがアップする食べ物の組み合わせと鰹節の旨味を引き立てるアレンジ方法をご紹介します。
目次
『鰹節の旨味』とは?
鰹節には、3大旨味成分のひとつであるイノシン酸が多く含まれており、これにより人は旨味を感じます。
ちなみに、3大旨味成分のうち残りの2つはグルタミン酸とグアニル酸です。
後ほど詳しく説明しますが、イノシン酸とこの2つの旨味成分を組み合わせると、旨味が増すとされています。
- グルタミン酸
タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されていますが、グルタミン酸はそのアミノ酸の1つです。グルタミン酸は食べ物だと昆布や野菜類に多く含まれています。
- グアニル酸
グアニル酸はイノシン酸にグルタミンが結合して生成します。グアニル酸は食べ物だと、干しシイタケに多く含まれています。
旨味は掛け算
旨味は掛け算で美味しさのレベルがアップします。
鰹節だけで出汁を取るよりも、昆布と一緒に出汁をとった方がコクが出たと感じた経験がある方が多いのではないでしょうか。
一つのものから出汁を取るより、他の食材と一緒に出汁を取るとさらに美味しさを感じます。
これを『旨味の掛け算』といいます。旨味の掛け算とはどういうことか、詳しく説明します。
旨味は相乗効果で増す
3大旨味成分のうち、単独でも美味いと感じます。
しかし、イノシン酸やグアニン酸と、グルタミン酸を組み合わせると、相乗効果で旨味が飛躍的に増します。
この相乗効果については、1969年の旨味に関する研究で証明されています。
この相乗効果は科学的に証明される前から料理で使われており、世界中の料理家たちは経験的に旨味の相乗効果を応用しています。
市販で売られていて、家庭でもよく料理で使われるブイヨンも、この相乗効果を用いた調味料です。
イノシン酸との掛け算
イノシン酸との掛け算(相乗効果)による旨味の強度は、2つの成分の配合の割合によって変化します。
イノシン酸とグルタミン酸の濃度を一定にして、2つの成分の配合割合を少しずつ変えた水溶液を作る官能評価では、イノシン酸とグルタミン酸を1:1の割合で組み合わせた時の旨味の強度が最も高く、各成分単独よりも約7〜8倍になるとされています。
例えば、和食料理、洋食料理、中華料理では以下のような組み合わせが用いられています。
- 和食料理:鰹節(イノシン酸)と昆布(グルタミン酸)の組み合わせ。
- 洋食料理:牛肉(イノシン酸)と玉ねぎ・人参・セロリ(グルタミン酸)の組み合わせ。
- 中華料理:鶏肉(イノシン酸)と長ねぎ・生姜(グルタミン酸)の組み合わせ。
旨味の掛け算で、鰹節の旨味成分を引き出す食べ物
旨味の掛け算の仕組みは今までで述べてきました。
素材の組み合わせを変えることで、旨味の掛け算を活用できます。
しかし、実際に鰹節を使って料理するとなると、何と組み合わせれば相乗効果が期待できるのかわからない場合もあるでしょう。
そのような場合は、昆布や野菜類がおすすめです。これらはグルタミン酸を多く含みます。
鰹節だけでなく昆布と一緒に出汁を取ると、旨味成分であるイノシン酸(鰹節由来)とグルタミン酸(昆布由来)の掛け算で料理が一層美味しくなります。
また、鰹節でとった出汁で野菜を煮込んでスープを作るときも同様です。
旨味成分であるイノシン酸(鰹節由来)とグルタミン酸(野菜由来)の掛け算で旨味が増し、スープにコクが出ます。
鰹節の旨味を引き出す方法がわかったところで、ここからは鰹節使ったアレンジレシピをご紹介します。
鰹節を使ったスープ
鰹節で取った出汁にめんつゆを加えて味を整え、お好みの野菜を入れて煮ればスープの出来上がりです。
お好みで鰹節をまぶしてもいいでしょう。
鰹節の旨味成分であるイノシン酸と野菜の旨味成分であるグルタミン酸の掛け算で、旨味が増して美味しいスープです。
このスープの作り方をご紹介します。
<材料>
- 鰹節 10 g
- 水 300 ml
- めんつゆ 大さじ 1.5 杯
- お好みの野菜 適量
- 塩胡椒 少々(お好みで)
<作り方>
- ステップ1:鰹節を沸騰させた水に入れ、出汁をとります。
- ステップ2:お好みの野菜を入れて、野菜がしんなりするまで煮込みます。
- ステップ3:野菜がしんなりしてきたら、めんつゆを入れ味を整えたら完成です。
3つのステップで作れる簡単なスープです。味が物足りないと思ったら、塩胡椒を少々入れるのがおすすめです。
また、鰹節でとった出汁は美味しいだけではありません。
鰹節にはヒスチジンという成分が含まれており、食欲抑制や脂肪燃焼効果を期待できます。
「スープダイエットに挑戦したい」または「スープダイエットをしていて、洋風のスープに飽きてしまった」という方におすすめです。
詳しく知りたい方は、鰹節の栄養成分について説明している記事をご覧ください。
トマトのだし浸し
湯剥きしたミニトマトを鰹節で出汁をとった出汁につけ、冷蔵庫で冷やすだけでできる簡単料理です。トマトの旨味成分であるグルタミン酸と鰹節の旨味成分であるイノシン酸で、旨味の掛け算が発生します。
ぜひ下記の動画を参考にて作ってみてください。
出汁を取った後の鰹節と昆布の佃煮
通常、出汁を取った後の鰹節と昆布は捨ててしまうでしょう。
しかし、それを捨てずに佃煮にアレンジすることをおすすめします。
鰹節の旨味成分のイノシン酸と昆布の旨味成分であるグルタミン酸の組み合わせで、旨味たっぷりの佃煮が作れます。
佃煮の作り方は、下記をご参考ください。
<材料>
- 出汁を取り終わった鰹節(適量)
- 出汁を取り終わった昆布(適量)
- 水 500 cc
- 砂糖 大さじ 2 杯
- 醤油 大さじ 2 杯
- 酒 大さじ 1 杯
- みりん 大さじ 1 杯
- 白ごま 適量
<作り方>
- ステップ1:出汁を取った後の昆布を細長く切ります。
- ステップ2:鍋に調味料と細長く切った昆布、鰹節、水をいれて弱火で煮ます。
- ステップ3:汁気がなくなってきたら、火を止めて粗熱を取り、白ごまをふりかけたら完成です。
出汁を取ったら捨ててしまう鰹節や昆布を有効活用しながら、旨味たっぷりの佃煮ができます。簡単に美味しいごはんのおかずができるので、このレシピを参考に作ってみて下さい。
まとめ
今回は、鰹節の旨味成分と旨味の掛け算、さらには美味しさが倍増する料理のレシピまでご紹介しました。
鰹節の旨味は鰹節単独でも感じますが、他の食材と一緒に食べることで美味しさが倍増します。
掛け算で考えると、どの食材を組み合わせば美味しくなるのか、簡単にわかるでしょう。
今回説明した旨みの掛け算を利用して、鰹節を使った美味しい料理をぜひ作ってみてください。